【社長のひとりごと】No.72-サグラダファミリア教会イエスの塔完成に想う

 聖家族贖罪聖堂のメイン・タワーとなるイエスの塔が、2016年2月に完成したことを受け6月にはローマ教皇を迎えてのミサが盛大に開かれました。その様子は世界へと発信され、ここ日本でもオンタイムで視聴できました。わたしが訪れた頃(1980年代後半)はまだ、降誕の門のファサードが佇立していただけで、当時は完成まで200年かかるとか、永遠に未完成の教会だとかと、まことしやかに伝えられていました。そしていま、マリアの塔に続いてイエスの塔が完成したことと記念式典の映像には感慨深いものがありました。

 私は「生涯に行きたいところは?」と問われると、冗談と本気半分に「完成した暁のサグラダファミリア教会」と応えていました。それが今世紀になるころからは、建築の技術面が格段に上がったのか費用面が潤沢になったのか、完成という着地点を明確に提示するようになってきました。とはいえ、これから栄光の門のファサードを含め、すべての完成までにはもう10年かかるとありましたし、わが身を振り返ると行けるかどうか、どうも覚束ないところです。最初は「本当に完成するのか」の方が冗談半分でしたが、いまや「行けるかどうか」が本気半分のネタになってきました。

 といって今ここで何もしないというのもナンなので(?)、ガウディ本を集めていた頃に購入したまま開くこともなかった『GAUDI 全作品』(六耀社 1988年)を引っぱり出してきて読み始めました。買う本の中には一生読まないだろうという本もあって、超々大型のこの本は両手で抱えてようやく持つことができるという代物で、やはり読むことはないと思っていました。専門家を対象とした出版物だったのか、出版社に直接連絡して注文した際、先方から「解約はできませんよ」と念を押された記憶があります。その大きさから、わが家の書棚では縦にも横にも収納することができない厄介者です。その価格はおぼろげに6万円台だったかと思っていましたが、今回あらためて見てみると88,000円(まだ消費税がないころ)とあり、わが事ながら少々驚きました。バブル時代の遺物だといえばいえそうですが、ガウディとその作品群に関する資料としては群を抜いています。

 というわけでこのところ、その厄介者に私の机のスペースのほとんどを占領されている状態ですが、窮屈さを託ちながらも濃密な読書の時間を楽しんでいます。

 ところで私が死ぬまでにもう一度、ほんとうに行きたい場所は「世界で最も緊密な空間」と評されるガウディの、こちらは永遠に未完となったコロニア・グエル地下聖堂です。