【社長のひとりごと】No.68-地球最後のナゾは「土」だった

 

 土壌の研修者・藤井氏は「平均的な日本人の土との関わりを再現しよう。朝食はチェルノーゼムで育てた小麦パンに北欧のポドゾルでとれたブルーベリー・ジャム。粘土集積土壌の飼料で育てた牛からとれるミルク。お昼は、アジアの熱帯雨林と強風化赤黄色土が育む香辛料(ウコン)を豊富に使ったカレーライスと火山灰土壌でとれた野菜サラダ。おやつに砂漠土のナツメヤシの入ったオタフクソースをかけたたこ焼きを頬張る。夜は未熟土でとれたおコメ、黄砂(若手土壌)に育まれた太平洋マグロのお刺身。シベリアの永久凍土地帯からやって来る冬将軍に怯えながら、ひび割れ粘土質土壌で生産されたコットンを泥炭土の化石である石炭で青く染めたジーンズをはき、石炭で発電した電気ストーブで温まる。そして、オキシソルを原材料にしたスマホを大切そうに握りしめている」と言います。

 世界には「土の種類は12しかない」そうです。それは上記引用文のゴチック体の12種類で、この地球上には「昆虫は75万種、植物は25万種、キノコは7万種も」あるというのに、です。

 さて世界の人口は70億人を超え、21世紀中には100億人に達すると言われています。日常では「飽食」が叫ばれる一方で、悲惨な「飢餓」のNEWSが世界を駆け巡っています。NASAが火星再現「土」で農業に成功したという話題もありました。地球外の星に救いを求めるという視点もあるでしょうが、現実的に私たちの地球の土壌は100億の人口を養うことができるのでしょうか? 未来に希望を灯すためのこの刺戟的な命題に、藤井氏は世界中を這いずり回り、まさに文字通りドロだらけになりながら、取り組んでいます。

 例えば水稲栽培で、100m×100mの1㌶の水田には年間3000万㍑の水量が必要で、これは3000㍉分の雨量に相当します。ところが日本の平均降水量は1500㍉なので、雨水だけでは不足しますから、河川等からの安定的な水の確保が必要です。一方、近くに大きな河川等がない地域(京都府北部等)では、確保できる渓流水や湧水の量によって栽培できる水田の数が決まります。 (『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』藤井一至 光文社新書)

 何の屈託もない賑やかな食卓は平和を代表する光景でしょうが、ぼぉ~と日常を生きていくためにも、世界を構成している基礎的な<足もと>は踏まえておきたいものです。