【社長のひとりごと】No.35-AIが作った短歌に想う

 アタマをちょっとひと休めして質問です。次のうちAIが作った短歌はどれでしょう?

①揺れている構造物があるとする場合に限り地震の揺れは
②パン屋では客の好みを聞きながら商品を決め袋に詰める
③学校に向かう途中の少女鉄神像の間を列車が抜けた
④目が醒めて匂いを嗅いで好きだといい猫になったあとなんとなく死ぬ
⑤街角の影がくっきりふりかかる太陽からの冷たさに耐え

 この問題は直感的に判断した方がいいかもしれません。私は①~③を選びました。実はすべて短歌を生成する<短歌AI>が作ったものだそうです。④とか⑤はすこしハネた(?)感性の人間が作ったカモと思ったのですが……。こうしてみると、人間もAIもあまり変わらないじゃないのというかもしれませんが、さて実際のところはどうでしょう。

 AIは言語モデルとして膨大な事例データの蓄積が必要で、その量が多いほど、いってみれば人間の言葉に近づきます(そのように見える)。ある言葉を入力して、次にくる頻度の多い言葉から選択する、という繰り返しから文章を構成していく過程の一例をあげてみます。

①〔入 力〕 短歌を詠むのは、
<生成確立>短歌(7.8%)、とても(1.5%)、その(1.5%)、今(1.2%)、俳句(0.9%)

②〔入 力〕 短歌を詠むのは、とても
<生成確立>難しい(18.2%)、楽しい(14.3%)、大変な(4.8%)、簡単(4.8%)、…

③〔入 力〕 短歌を詠むのは、とても大変な
<生成確立>ことで(42.9%)、ことだ(15.8%)、作業(10.3%)、こと(8.8%)、…

④〔入 力〕 短歌を詠むのは、とても大変なことで
<生成確立>す(91.8%)、、(読点 2.2%)、は(2.0%)、も(1.4%)、しょう(0.8%)

⑤〔入 力〕 短歌を詠むのは、とても大変なことで、
<生成確立>その(2.5%)、しかも(2.1%)、また(1.4%)、多くの(1.1%)‥‥‥

 という繰り返しから完成した文章が「短歌を詠むのは、とても大変なことで、しかもそれが楽しいものです」というものでした。こうして文章を、AIは瞬時に作成します。けれども「言語モデルが生成する言葉とは違い、人間の言葉には常に言葉にまつわる何かが息づいている」と言えないでしょうか。  (『AIは短歌をどう詠むか』浦川通 講談社現代新書)