河井寛次郎(1890~1966)という陶芸家がいました。民藝の世界に深く関わり、その作品群は世界的な評価を得ましたが、一方で文化勲章や人間国宝への推挙等については辞退する等、自らを一陶工と位置づけてその生涯を創作活動に捧げました。河井寛次郎は陶芸に限らず、文章においても優れた表現者でした。(『火の誓い』河井寛次郎 講談社文芸文庫)
「仕事のうた」
仕事が仕事をしてゐます
仕事は毎日元気です
出来ない事のない仕事
どんな事でも仕事はします
いやな事でも進んでします
進む事しか知らない仕事
びっくりする程力出す
知らない事のない仕事
きけば何でも教へます
たのめば何でもはたします
仕事の一番すきなのは
くるしむ事がすきなのだ
苦しい事は仕事にまかせ
さあさ吾等はたのしみましょう
あるいは、
雲は空がすきだ 浮かんでいられる処だからだ
雨は土地がすきだ 降って落ちられる処だからだ
風はものがすきだ 当ってみられる処だからだ
自分はひとがすきだ ひとであればある程自分だからだ
自分を律することのできる潔い立ち姿が浮かんできます。たぶん、偏屈で頑固者だったかもしれませんが、なんだか人好きのする好々爺然とした生き様がしっくりきますね。
