【社長のひとりごと】No.22-カッコウはイメージが悪い?

 カッコウは、夏の初めに日本に飛来します。カッコウ科は世界に150種ほどいますが、日本にやってくるのは4種で、カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ、ツツドリとなります。このうち「カッコー」と鳴くのは、カッコウだけです。この4種のカッコウ科は他の鳥の巣に卵を産みます。托卵といい、その巣の親鳥は一生懸命カッコウ科のヒナを育てます。ちなみに世界的にみると、カッコウ科の3分の1ほどが托卵をするそうです。

 托卵については早くから知られていて、紀元前四世紀の『動物記』(アリストテレス)に記載があります。日本での最古の記述は『万葉集 巻九』の髙橋虫麻呂の歌とされています。他の鳥(オオヨシキリ等)が卵を産むのを待って、巣を留守にした隙に卵を一個うみ落とします。そして、なぜか一番初めにその卵が孵り、そのヒナが最初にする作業が他の卵を巣の外に落とすことです。万が一、本来のヒナが先に孵った場合は、後から孵ったカッコウのヒナ(他より少し大きい)が先に産まれたヒナを外に蹴り出します。そして巣に一羽だけ残ったカッコウのヒナは、本来の巣の親鳥の愛情を一身に受けることになります。親鳥は、自分の数倍の大きさにまでなるカッコウが巣立つまで、一生懸命に餌を運び続けます。

 さてカッコウは漢字で「郭公」、「呼子鳥」、「閑古鳥」等々と書きます。ヨーロッパでは幸運を呼ぶ鳥として歓迎されているようですが、わが日本では「閑古鳥が鳴く」といって商売の世界では敬遠されてきました。かつてヨーロッパで古くから親しまれていた「カッコウ時計」が、日本に入ってきた時にはひどく忌避されることとなりました。カッコウ時計は、ドイツのシュヴァルトヴァルト地方で作られたものがヨーロッパ中に広められたものですが、日本上陸の際は「こんな縁起の悪いものはだめ」という声が上がりました。 

 そこでわが国ではカッコウがハトに変えられて、私たちに馴染みぶかい「ハト時計」となったというエピソードがあります。世界中でも「ハト時計」になったのは日本だけだといいます。ところで、きまった時間に鳴くカラクリで時を知らせますが、「ハト時計」となっても時を告げる時は「カッコー」と聞こえるものが、実際にはけっこうあるそうです。何となくクサイものにはフタをするという世界とダブってきて「ハト時計」は、いかにも日本的な時計だと思うことしきりです。(『鳥を読む 文化鳥類学のススメ』細川博昭 春秋社)