【社長のひとりごと】No.21-日本ミツバチの秘密

 都心のビルの屋上にミツバチの巣箱を置いて養蜂をしているという映像を、以前TVで視たことがあります。蜜を集めるための花が近くにあれば場所はどこでも良いのでしょう。公園等が点在しているとはいえ、それほど集めやすいとも思えませんが、ミツバチからするとけっこう見つけやすいのかもしれません。最近「イイコトヤッテル感」が強くて敬遠しがちな『鉄腕ダッシュ』という番組でも、新宿にある建物の屋上で養蜂をやっていて、いつだったか日本ミツバチと西洋ミツバチについて放映していました。

 西洋ミツバチは明治時代にアメリカから持ち込まれたそうです。並べないと見分けがつかないようですが、日本ミツバチは少し小型で丸っこく、西洋ミツバチはホッソリ系というのがパッと見たイメージでした。ところで、その西洋ミツバチですが、日本では野生化した例がほとんどないそうで、わずか小笠原諸島でのみだということです。もともと日本の自然の中で生きている日本ミツバチですが、外来種の西洋ミツバチは、日本ミツバチが生きていける日本の自然の中で、なぜ生きていけないのでしょう? その秘密を玉川大学の小野正人の研究チームが解明して『ネイチャー』に発表(1995年)しました。

 ミツバチの天敵は、ご存知オオスズメバチと狂暴なキイロスズメバチです。ミツバチの巣をスズメバチの集団が襲う前には、周辺の情報収集のために偵察バチを飛ばします。偵察バチが日本ミツバチの巣に近づくと、そのスズメバチのフェロモンを感じ取った日本ミツバチは即戦闘態勢に入ります。巣におびき寄せた偵察バチを働きバチの数百匹が襲いかかって包み込み、胸の筋肉を震わせて体温を上げ、スズメバチを高温で殺してしまいます。それは「熱殺蜂球」というそうで、内部の温度は46度以上になるそうです。スズメバチの致死温度は45度で、日本ミツバチの致死温度は49度ということですから、その微妙な温度差が日本ミツバチを守っていることになります。

 一方、西洋ミツバチは日本ミツバチの「熱殺蜂球」という秘術を持っておらず、無謀にも一匹一匹で飛びかかり、瞬時にかみ殺されるということになります。日本ミツバチの秘術を持たない西洋ミツバチが唯一、小笠原諸島で野生化できたのは、そこにスズメバチという恐ろしい天敵がいなかったからでした。なお、熱殺蜂球の形成に参加した働きバチは30分以上の高熱にさらされるため、余命は短くなる(2018年)とのことです。無理は大敵ということですかね。     (『生き物の「居場所」はどう決まるか』大崎直太 中公新書)