ツバメの渡来が年々早まっているそうです。以前、その一年で初めてツバメを確認した日にちをチェックしていたことがあります。ようやく辿りついたのがよほど嬉しいのか、声高く鳴きながら街なかを何度も確かめるように行き来していました。このところあまりツバメを見なくなったような気がしていて、チェックをすることもなくなりました。
最初に飛来するのはオスで、雄ツバメには少しでも早く到着しなければならない理由があるのですが、といってあまりに早く着きすぎると、主食となる飛翔昆虫が採れないために飢えと寒さで死んでしまうリスクが高くなるといいます。
そういえば二子玉川の駅構内でも、何年かツバメが子育てをしていたことがありました。改札の近くで、こんなに人間が多いのにと思っていましたが、しばらく営巣は続いていました。比較的広範囲での都市の変化で子育ての環境が変わったのでしょうか、フッツリと来なくなりました。
さて、雄ツバメは到着すると早々に巣作りの場所を定めるわけですが、ツバメが営巣する場所にも好みがあって、優良物件とそうでないものとがあるそうです。ツバメは人が住んだり、利用したりしている建物に好んで巣を掛けて、子育てをします。どんな建物でも良いのかというとそうでもなくて、ツバメが営巣する建物を調べると「長年にわたってツバメが利用するAランクの物件、ときどき利用するBランクの物件、できれば避けたいがやむなく利用するCランクの物件がある。ツバメの世界に不動産鑑定士がいれば、建物の構造(特に外壁の構造や軒下の有無など)、家族構成(年齢や人数)、来客数、通りの人や車の通行量などから路線価格を計算し、餌場となる水田や湿地までの距離、巣材の泥の入手先も評価の対象にするであろう。ひょっとしたら、住民に野鳥の会の会員がいればプラス評価、ツバメを捕獲するネコがいればマイナス評価をするかもしれない。ツバメたちは人家の周辺を飛び交いながら、真剣に不動産鑑定を行うのである」ということです。
この評価からすると、二子玉川駅での営巣はランクとしてはどうだったのでしょうか?何年にもわたって営巣していたということからすると、ヒナが待っている巣の下をあれだけの人数が行き交っていたとしても、親ツバメにとっては天敵からは離れ、ヒナたちの餌にも恵まれたAランクだったのかもしれません。(『都会の鳥の生態学』唐沢孝一 中公新書)
