【社長のひとりごと】No.10-「ウィンドウズ」と「アップル」の寓意?

 米国はその始まりの背景から、いわゆるエスタブリッシュメント層と呼ばれるWASP(white Anglo-Saxon Protestant)から見ると、カソリックは移民や難民の出身者が多いとされます。そうした背景からなのか、歴代の大統領のなかでもカソリックはわずかで、ジョン・F・ケネディとジョー・バイデンの二人だけだそうです。オバマも、かのトランプもプロテスタントだということです。ちなみにトランプの宗派は「長老派(カルヴァン派)」で、その信仰の特徴は「選ばれた者たちが世界を作り変える使命を果たす」ことだといいます。

 さて、この辺で政治がらみの話題から離れて、現代の寓話(?)に移ります。わが社のPCで使用しているオペレーション・システム(OS)は「ウィンドウズ」です。ウィンドウズは皆さんもご存知のようにビル・ゲイツが開発したマイクロソフト社のOSです。ビル・ゲイツはカソリックだそうで、そのOSは「ウィンドウズ(窓)」と呼ばれています。

 私たちのように山や川、岩や泉等々に神性を見出す民族と違って、キリスト教のように絶対神に依拠している世界では、もともと聖像等は作ってはいけないとされていましたが、人間は悲しいかな、何らかの形を求めるものなのでしょう。4世紀あたりにはキリストの画像が世に出回り始めます。その後、8世紀と16世紀(ルターの宗教改革)の大規模な聖像破壊運動(イコノクラスム)を経て、一方ではカソリックの改革により聖像(イコン)の正当化が行われます。つまり当時のカソリックでは、イコンとは「窓」であると考えました。

 ビル・ゲイツの作った「ウィンドウズ」は、そのまま「窓」となります。私たちは、モニター上にたくさんある小さな画像をクリックして操作しています。それらの小さな画像は「アイコン」と呼び、「イコン」につながります。ちなみにマイクロソフト社のライバル、アップル社は「あっぷる(リンゴ)」ですから、リンゴは知恵の実といわれていて、どうやらこれもキリスト教的な含意がありそうな気がしてきます。

 いまや巷に「クラウド(雲)」がモクモクと発生していますが、これもキリスト教では「知恵のシンボル」とされています。どうも、現在のコンピュータの世界はその創造の時から「神的な寓意」に満ち満ちているようです。
                      (『美術は宗教を超えるか』宮下規久朗、佐藤優 PHP研究所)