【社長のひとりごと】No.6- いわゆる<呑兵衛>の言い草

 黒田節にも「♪酒は飲め飲め」と謡われていますが、秋の夜長、呑み助の世界は「呑む」から「呑まれる」まで百鬼夜行です。また「百薬の長」とする一方で「万病のもと」とも言われ、たまの気晴らしには良き友ですが、運悪く呂律も怪しく管を巻いているヤカラにでも会おうものならば、翻って「これぞ人間観察の千載一遇のチャンス」とでも思うしかありません。ここでは、いわゆる<呑兵衛>たちの「酒の言い草」を拾ってみましょう。

酒がいちばんいいね。酒というのは人の顔色をみない。貧乏人も金持も同じように酔わしてくれるんだ。(古今亭 志ん生:落語家)           
この店のビールはうまいから帰りに六本包んでくれ。           (内田 百閒:小説家)
酒を飲むよりも水を飲む、酒を飲まずにはゐられない私の現在ではあるが、酒を飲むやうに水を飲む、いや、水を飲むやうに酒を飲む、――かういふ境地でありたい。   (種田 山頭火:俳人)
二日酔いについて、くどくど語ることはやめよう。それは諸君がよく経験し、熟知していることだからだ。(田村 隆一:詩人)                                 
良酒あらば飲むべし/友来たらば飲むべし/のど、渇きたらば飲むべし/もしくは、渇くおそれあらば飲むべし/もしくは、いかなる理由ありといえども飲むべし。(ヘンリー・オールドリッチ:神学者)
舌に何も残らない。ダメだ、こんなコクがない酒は!     (なぎら 健壱:フォークシンガー)
のまぬくらいなら、蕎麦やへは入らぬ。                (池波 正太郎:小説家)
僕が二日酔いをしない理由で、ひとつだいじなことはね。気持ちよく飲むことだよ。いいも悪いも気持ちよく飲んで……。 
 (高田 渡:フォークシンガー)                   
しまいには、酒のことを考えるのも苦痛になってきた。         (柳家 小三治:落語家)
いつでも、ここに来なさい。オレはいつも、ここにいるから。      (佃島の老人:市井の人)
酒って、力があるんだと改めて気づいたんです。今の自分があるのも、喜びや悲しみを分かち合えたり、個人と個人をつないだり……。それがあったから、自分らも、酒を造ることができた。 (鈴木 大介:浪江町の杜氏)
お酒は単に工場で生産される工業製品ではありません。太陽と大地、水、そして人。母なる大地で繰り広げられる生命サイクルの中で生まれるもの。          (山同 敦子:ジャーナリスト)

いずれ劣らぬ<呑兵衛>の言い草ですねぇ。  (『酔っぱらいに贈る言葉』大竹聡 ちくま文庫)