【社長のひとりごと】No.5- 社会の認識が言葉を変える

 気づいている方もいるかもしれませんが、‘20年10月から日本航空が、‘21年3月から東京ディズニーランドとディズニーシーが、それぞれ「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」というそれまでのアナウンスを「Hello Everyone」に変えたそうです。また、ベネッセコーポレーションも「たまごクラブ」「ひよこクラブ」の記載で、‘16年ごろから「主人」や「旦那」を原則、使わなくなりました。読者アンケートにも、家族の多様性を反映して「配偶者やパートナー」と記載しているとのことです。

 それらは性差別や役割分担の固定観念をなくしていこう、とする社会認識の流れに対応しています。社会認識に対応する言い方には、個人的な経験があります。教育の現場では30年以上も前から「ご両親」と言わず「保護者」と言っています。それは私が幼稚園での挨拶をする時に留意するところはあるかと園長に確認したところ、そのように指摘されました、「保護者」あるいは「おうちの方」と呼び掛けてくださいと。まさに家族の多様性に対応したものになります。

 言葉の変化は社会の変化や移りゆくさまを敏感に反映しています。9年ぶりに改訂された「新明解国語辞典」(‘20年11月)では、一番大きな変化はジェンダー関係の語の解釈の部分だそうで、かつLGBTQ(性的少数者)への理解を促す表現が以下のように加わったそうです。

口紅:「〔女性の化粧品で〕くちびるに塗る紅」⇒「〔化粧品などで〕くちびるに塗る紅」

アイライン:「〔女性が〕目を大きく見せるために、目のまわりをふちどった線」⇒「〔化粧で〕目を大きく見せるために、目のまわりをふちどった線」

手離れ:「いちいち〔母親〕がついていなくてもいい程度に幼児が育つこと」⇒「いちいち〔親]がついていなくてもいい程度に幼児が育つこと」

恋愛:「〔特定の異性〕に対する思い」⇒「〔特定の相手〕に対する思い」

相合傘:「一本の傘を(相愛)の〔男女〕が一緒に差すこと」⇒「一本の傘を(相愛)の〔二人〕が一緒に差すこと」

                         (『女ことばってなんなのかしら?』平野卿子 河出新書)

 確かに、男性も化粧をする時代だし、子どもの手離れは母親に限らない、恋愛も特定の異性でなくてもいいし相合傘は相愛の二人であればいい、というわけです。